
♪〜一番上は長男〜、一番下は三男、間に挟まれ次男、団子三兄弟♪ のメロディーが浦々の海岸から聞こえてくる。すると、どこからともなく、ご婦人たちが集まり始める。軽快なメロディーはますます近づき、海岸線のカーブから現れたのは、一台のトラックだった。
「今日は何があるかえ〜。」
トラックの荷台が広げられると、所狭しと並べられた食料品や日用品の品々。そして、トラックに集まるご婦人たち。あのメロディーは移動販売車が来た合図だった。
「今日は新鮮な玉ねぎが入ったよ」と、元気良く応対するのは、この道20年という、三栄商店社長の三原さん。「おばあちゃん。久しぶりやな〜。元気しとった?」、「この前買った洗剤はダメじゃった。今後は違うのちょうだい」とすでに顔見知りとなった者同士の会話が飛び交う。「何にも置いてないな〜」とジョークを飛ばしながら品定めをする老婆に、「このおばあちゃんはいつもこんな調子で困る」と三原さんも苦笑い。お互いに気心が知れた中なので、どんな物が必要で、どんなものが好みかも分かっているそうだ。
「20年前は、車の免許を持っている人も少なかった。週末になると家族で車に乗って買い物に出かけるのでは不便なので、自然とこういった商売が興った。ウチは鶴見半島から米水津までを回っているが、上浦にも津久見の四浦にもこういった移動販売車があるが、そのうちこうった商売もなりたたなくなるかも知れませんね」と話す

三原さん。それでも、地元の方々から「三原さんが来てくれるから助かるんで〜。買い物に出かけることができない高齢者も多くなっているから、ぜひ続けて欲しい」と愛され、必要とされている言葉を聞く。
「こういった地域を廻っていて楽しい事、逆に心配な事はありますか?」との問いに、三原さんは、こう応えてくれた。
「お客様はほぼ顔見知りなので、世間話をするのが一番楽しい。何番目のお子さんが東京で頑張っているとか、○○の賞をもらったとか…。時には漁の話も出る。私個人的にも魚釣りが大好きなので、魚の話は盛り上がりますね。大漁旗が上がった船を見ることが少なくなりましたが、あの旗が挙がっていると、こちらまでワクワクしてきます。そして決まって沢山買ってくれます(笑)。やはり漁師町なので、世の中の景気というよりは漁に左右されるようですよ。反対に心配なことは、高齢化がどんど

ん進んでいるということ。知った顔が年々少なくなっていくのは辛いものです。できれば都会に出て行った方々に地元に戻って来て欲しいと思いますが、昔みたいになかなか漁だけでは食っていけないですからね〜」。
一人暮らしの世帯が増えることで、自然と会話も少なくなる。誰かと話したくなれば港へ出る。三栄商店のトラックが来れば、なおさら会話も弾む。移動販売車として売られている物は、食料品や日用品となるが、それ以上にこの移動販売車は人と人の触れ合いの場を提供しているように感じた。
今日も夕方になると、潮風に乗って軽快なリズムが鳴り響いてくる。「来たな…」と、自然に私の顔もほころんだ。浦から浦へ、心から心へ軽快なリズムは続く。